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January 17, 2008

北方謙三「檻」(挑戦シリーズ関連作品)

北方謙三「挑戦」シリーズ③の「風の聖衣」で、ペルーの山中で「狼(ロボ)」こと水野竜一に闘いを挑む元刑事・村沢が登場する物語。北方作品のなかでは初期のもの。「檻」というタイトルが意味するもの(=男たちが自らを縛るもの)は、その後も多くの北方作品の底流に共通する。
Oricyousenkanren


主人公は、滝野和也。文庫カバーの紹介文には、「やくざな世界から足を洗って、今は小さなスーパーを経営している滝野和也。そのスーパーの買収工作をめぐるいざこざから、滝野の野性の血が再び噴き出す。結局は“檻”のなかにとどまれず、修羅場に戻っていく男の滅びの美学を、鮮烈な叙情で謳いあげた北方ハードボイルドの最高傑作!」とある。

後に多くの北方作品の重要な登場人物となる「老いぼれ犬」高樹刑事も登場。村沢は、このときは高樹とペアを組み、有望な柔道選手でもある若き刑事として、高樹とともに滝野を追う。

しかし、村沢には、かつて犯人が手にした刃物を怖れ、目の前を素通りさせてしまったという苦い経験があった。その分、刃物を使う滝野を、よけいに意識して対峙しようとする。

物語のラストで村沢に撃たれ、死んでいこうとする滝野は、「檻…」、「出られた、ぜ、旦那」と高樹に言い残す。これは、後に「挑戦」シリーズ③の「風の聖衣」のラストで、竜一と闘い、同じように死んでいこうとする村沢が、「狼(ロボ)の牙が、俺は、怕くなかった。はじめて、闘えた」と言い残す場面と重なる。

闘いを見守った石本一幸に、村沢は、「老いぼれ犬に伝えろ。けものが、一匹、こうやって、死んだとな」とメッセージを託す。うなずく石本。その後、「挑戦」シリーズ④の「風群の荒野」で、日本に戻ってきた石本が、高樹にそれを伝える。

自分自身を閉じ込める「檻」から、血の噴出によって飛び出そうとする男たち。死んでいった友を心に宿し、命を賭して闘うことを決意する男たち。そして、そうした「けものたちの死」をじっと見守り続ける「老いぼれ犬」高樹。

やはり北方ファンとしては、一度は読んでおきたい、北方ハードボイルドの“源流”作品といえるのではないか。

【以下、関連作品】
北方謙三「風群の荒野」(挑戦④)
北方謙三「風の聖衣」(挑戦③)
北方謙三「冬の狼」(挑戦②)
北方謙三「危険な夏」(挑戦①)

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